ヴィジュアルプリズン

スペシャルライブイベント『VISUAL PRISON 1st GIG -RED MOON-』オフィシャルレポート到着!

生バンドで演奏披露!美しきヴァンパイアたちが魅了する奇跡の饗宴

VISUAL PRISON 1st GIG -RED MOON-」が、幕張メッセ・幕張イベントホールで開催された。アニメのシリーズ構成を担当した菅原雪絵による書き下ろしドラマを軸に、上松範康率いるElements Gardenにより手掛けられた楽曲を生バンドで披露。ヴィジュアル系音楽のパフォーマンスを追求し、約7,000人の観客と全世界の配信視聴者を魅了したステージの模様をレポートする。

照明が落ち、暗闇の中に浮かび上がるステージ。作中で描かれた「ヴィジュアルプリズン」の空間を彷彿とさせるセットに、バンドメンバーがスタンバイする。背景全面に設けられたスクリーンでは、ヴァンパイアが歌を捧げる「紅い月」が妖しく輝いていた。キャラクターたちを紹介するオープニング映像に続き、最初に現れたのはギルティア役の古川慎。この物語の始まりの曲である「ギルティ†クロス」を熱唱し、孤高のカリスマを見せつけたかと思うと、途中から、まさかの江口拓也、増田俊樹、蒼井翔太が加わり、伝説のバンドECLIPSE(初代)が揃う。何かとんでもないことが起ころうとしているのではないかという予感が、会場を震わせていた。




朗読パートが始まり、キャストが現れるたびに、それぞれのキャラクターをイメージしたヘアメイクや衣装に目を奪われていく。しかし、ステージが華やぐ一方、スクリーンの「紅い月」は欠けていくではないか。ヴァンパイアたちは、ハラジュクからどこか別の場所へ移ろうとしている「紅い月」をその地に留めるべく、全員の歌声で虜にしようと話し合った。ディミトリの「この場にいる子羊たちも、『全ての歌』を欲しているのではないか?」という問い掛けに、大きく湧き上がる拍手。主人公のアンジュが、決意のまなざしで宣言する。「始めようか。今宵だけのヴィジュアルプリズンを――!」。



かくして宴の幕は開けた。清らかなる青の歌声で、囚われた心を未来へと解き放っていくO★Zの「残酷シャングリラ」。旋律にすら縛られない破天荒さで、道を切り拓くLOS†EDENの赤き「BLOODY KISS」。ECLIPSEは「玉座のGEMINI」で、荘厳なシンフォニーロックを響かせ、神聖不可侵なる天上の白へと染める。作中にも登場した剣型マイクを手にした3ユニットの個性が炸裂し、一斉に色を変えていくペンライトの光景も感動も呼んだ。





しかしそこへ「みんなで遊びましょう」と、招かざる客がやって来た。イヴに憑依している、ヴァンパイア・カルミラだ。二役を演じる七海ひろきが、薔薇をたずさえ、高らかに歌い上げる「銀河ティアラ」。星の瞬きのようなウィンクで、会場中に魔法を掛けた。カルミラには負けられないのが、美しさを追求するエリザベス。ビジュアルも仕上げてきた永塚拓馬は「シャルムの輪廻」で、夢と現のはざまで繰り広げられる舞踏会へといざなう。





重厚なメタルサウンドの中にラップやダンスを交え、ジャックの無邪気な愛らしさと、その内に渦巻く嫉妬心を表現した矢野奨吾の「極上Jealousy」。天使の歌声と謳われたロビンの輝きを「HEART JACK」で、軽やかに届けた堀江瞬。パンキッシュなギターの演奏もライブ感を高め、客席に黄色のハンドウェーブを巻き起こした。さらに矢野と堀江は、互いに手を差し伸べながら「AI=ZO」をデュエットし、愛憎にまみれた兄弟の複雑な心象風景を浮かび上がらせた。





島﨑信長は、アカペラからどんどん楽器が増えていくと同時に、スクリーンに映る歌詞のフォントも強度を増していくという演出を伴い、ミストが懐く焦がれるほどの敬愛を「My Principal」で切々と歌い上げた。江口拓也が、その低音で吠え、噛み付くように歌う「K or K」では、唯一の欲しいものが手に入らないサガの苦悶が業火のごとく燃え上がる。




ディミトリらしい尊大な奔放さで歌われた増田の「Divine Love」。手振りと共に「この胸へと堕ちろ」と、扇情的なメッセージを放つ。ピンヒール姿と他の追随を許さないハイトーンボイスを操る蒼井は、ハイドの「Holy Love」で、真実の愛を捧げる者に天にも昇る恍惚を与えた。




巧みなヴィブラートの中に、ギルティアの音楽の絆を感じさせた古川の「SKY」。「原初の歌声(ひびき)」と、スクリーンに映る歌詞でヴィジュアル系らしい当て字の妙を感じられることとなった。そして、アンジュの純朴さをそのまま音にしたような、心のひだにふれるイントロに始まる「Wing with wind」。飾らないメロディに乗せ、ぬくもりのあるファルセットを響かせる千葉。ときおり覗く笑顔が、その高揚を伝えた。




満足したカルミラが眠りにつき、彼女に助力を求めたことを申し訳なさそうに出てくるイヴ。だが、エリザベスに促されて「Nemesis」を歌い出すや、空気が一変。七海は、ヴァンパイアハンターの抑えようとも抑えきれない昂りの中で、同族の安らかな死への祈りを捧げながら、煌々と光る二刀流の剣舞でも魅せた。




さらに、たっぷり極上の音楽を味わった「紅い月」もまた、もとのかたちを取り戻そうとしていた。もう二度とハラジュクから離すまいと、ヴァンパイアたちはラストスパートに突入する――!



背中合わせに立ったECLIPSEが突きつける、無二の存在感。「ROYAL CROWN」は、ギターだけで語るように歌われる助走から、バンドの厚みを伴って、絡み、高め合う2人のハーモニーが天を衝く。一瞬、一瞬を永遠の絵画へと変えていく尊さだ。個々に最高純度のエゴイスティックを撒き散らしながら、砂ぼこり舞い上がる荒々しさで、アジテーションするLOS†EDEN「SACRIFICE」。4人がひとところに集まって迎えたクライマックスに、育まれた絆を感じさせた。O★Zの4人がのびやかなメロディで、彼らの秘めた可能性そのものを思わせる青空と草原の広大な景色へと連れて行く「ANGELIST」。円になって向き合い、騎士のごとく頼もしさで剣型のマイクを掲げ、願いを一つに〝YOU〟との未来を誓った。観客に向けて手を振るという今回のライブには貴重なシーンも!





すべて歌い尽くし、アンコールの曲は残されていない。そこへ現れた千葉は、幼き日に孤独なアンジュを慰め、上京へと導いた「ギルティ†クロス」を歌い始める。すると――。オープニングとは逆のかたちで、古川が声を重ねてきたのだった。2人の想いが歌に乗せて熱くぶつかり、抱き合い、イメージカラーである青とオレンジが一つになったとき、「ダガー」のモチーフは、海面に光を差して揺れる朝日の情景を思わせた。彼らの「もっと光を!」という声に応え、ペンライトを振る手にも力がこもる。まさに、作中で描かれた「光の玉」となっていくオーディエンスの姿だ。会場が心を一つに、一斉にジャンプして終わりを迎えた。






全20曲、約2時間にわたりノンストップで繰り広げられた奇跡の宴。発声はなくても共鳴が熱狂を生み、生命がほとばしる。確かにそこはハラジュクであり「ライブハウス・幕張メッセ」であった。「偽りは歌えない」ヴァンパイアの物語を紡ぎあげ、ヴィジュアル系と称される音楽の持つ可能性への挑戦が結実した一夜だったといえるだろう。会場を出ると、頭上には美しい月が輝き、夜風が優しく頬をなでる。キャスト陣はキャラクターに徹したため、終演の挨拶もキャラクターを通して伝えられることとなったが、それを締めくくったアンジュの言葉を思い出す。

「……ありがとう。O★Zの…俺たちみんなの歌を聴いてくれて。君たちとはこれからも一緒だ。だって、音楽でつながっているから」




【イベント概要】
・開催日:2022年6月12日(日)16:00開場17:00開演
・会場:幕張メッセ 幕張イベントホール
・出演(敬称略):千葉翔也、古川 慎、七海ひろき、堀江 瞬江口拓也、島﨑信長、永塚拓馬、矢野奨吾増田俊樹、蒼井翔太<バンドメンバー>本多友紀(Gt)、kyo (Ba)、RYOTA(Dr)

【SET LIST】
― VTR ―
01.ギルティ†クロス/ECLIPSE(ギルティア・ブリオン、サガ・ラトゥール、ディミトリ・ロマネ、ハイド・ジャイエ)― 朗読 ―
― OP VTR ―
02.残酷シャングリラ/O★Z(結希アンジュ、ギルティア・ブリオン、イヴ・ルイーズ、ロビン・ラフィット)03. BLOODY KISS/LOS†EDEN(サガ・ラトゥール、ミスト・フレーヴ、ヴーヴ・エリザベス、ジャック・ムートン)
04.玉座のGEMINI/ECLIPSE(ディミトリ・ロマネ、ハイド・ジャイエ)05.銀河ティアラ/カルミラ― ミニトーク ―06.シャルムの輪廻/ヴーヴ・エリザベス07.極上Jealousy/ジャック・ムートン08. HEART JACK/ロビン・ラフィット
09. AI=ZO/ロビン・ラフィット、ジャック・ムートン
10. My Principal/ミスト・フレーヴ
11. K or K/サガ・ラトゥール
12. Divine Love/ディミトリ・ロマネ
13. Holy Love/ハイド・ジャイエ
14. SKY/ギルティア・ブリオン
15. Wing with wind/結希アンジュ
― ミニトーク ―
16. Nemesis/イヴ・ルイーズ
― ミニトーク ―
17. ROYAL CROWN/ECLIPSE(ディミトリ・ロマネ、ハイド・ジャイエ)
18. SACRIFICE/LOS†EDEN(サガ・ラトゥール、ミスト・フレーヴ、ヴーヴ・エリザベス、ジャック・ムートン)
19. ANGELIST/O★Z(結希アンジュ、ギルティア・ブリオン、イヴ・ルイーズ、ロビン・ラフィット)
― VTR ―
20.ギルティ†クロス/結希アンジュ、ギルティア・ブリオン
― 朗読 ―







関連記事

ランキング